ジェフティ 約束
 唐突に、まるで神にいたずらされたかのようなそんな出会いだった。それが後に、こんな形で袂(たもと)を分かつことになろうとは、誰が予測しただろう。
 下級兵士が集まる酒場の外で、アスベリアは酒を飲みながらチェスを楽しんでいた。チェスの相手は、同じ上将軍に使えるラステア=チェスカ小隊長で、いつもアスベリアとここで対戦をしては負け、酒を奢(おご)らされていた。今日こそはアスベリアに一矢報いようと、真剣なまなざしで盤を食い入るように見つめている。
「やあ、君は……、ベラス将軍の……」
 そこへ、のんびりとした足取りでやけに体格のよい、身なりのいい男が近づいてきた。
「ああ、そうだが?」
 アスベリアは怪訝そうにその男を見上げる。
 ――日向の犬のような奴だ。
 それが、アスベリアの第一印象だった。にこやかで穏やかな、年のころはアスベリアとそんなに違わなさそうなのに、まるで好々爺とした落ち着きを放つ男だった。
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