ジェフティ 約束
「馬鹿な!シンパを明け渡しても、話し合いに持ち込むことが出来たのに!」
 そんな言葉もすでに遅い。
 混乱の中、ザムラス国王を隠し、影武者を立て、散りぢりに敗走するしか術はなくなってしまった。
「アスベリア、君はシラーグ殿をつれて、コドリスを引きつけるように逃げてくれ」
 アスベリアはその言葉に動揺した。
 ――何故、オレが……。
 激しく自尊心が傷ついた。ノリスはザムラス国王の傍らに残るのに、どうして自分が影武者を連れて逃げなくてはならない。
「これも王をお守りするためだ!わかってくれ」
 アスベリアは遣る瀬無さに唇をかんだが、断ることも許されなかった。
 ――絶対に逃げ切ってやる!カリシアに戻り、王に自分の存在を認めさせてやる!
 アスベリアを動かす原動力は、もうそれしかなかったのだ。
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