ジェフティ 約束
 アスベリアたちがコドリス軍に追われ行き着いた場所は、皮肉にもアスベリアの生まれ故郷、貧しい農村ペルガだった。そこは、ドレイクと海を挟んだ反対側に当る。アスベリアはそこまでの道のりをわざと右往左往して時間を稼ぎながら、十日間もの時間をかけて逃げ回った。村にたどり着いた頃には、自分が引き連れていた仲間の兵士を失い、シラーグと自分、二人だけになっていた。
 村を飛び出してから、気がつけば十年以上もの月日が流れていた。
 ――ここは、どこだ?
 アスベリアは始め、ここが自分の生まれ育った故郷だと気がつくことが出来なかった。なんとなく見覚えのある風景ではある。しかし、何か違和感があった。
「ノベリアの端に、こんな裕福そうな村があったとはな……」
 シラーグが何気なく口にした――裕福そうな村――、そう、アスベリアの違和感はそこにあったのだ。アスベリアの記憶にあった村とはまるで違う、裕福そうな村の風景。大半の家は大きく建て直され、広々と開いた窓からは暖かい光が漏れていた。
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