好きだ好きだ、大好きだ。
隣に座る夏希君とのその距離にやっと慣れてきた頃には、外はだいぶ暗くなって、もうバイトに向かう時間になっていた。
「さて、そろそろ出るか」
「うん!」
ちょっとだけ――というか、かなり浮かれていた。
「あー、ごめんハナちゃん」
「んー?」
何なら、このまま頑張ったら、もしかして亜矢ちゃんの言う通り、私にもチャンスがあるかもしれないだなんて……。
そんな大それた考えまで、頭のどこかにあったのかもしれない。
「俺これ片づけちゃうから、廊下の右の寝室の机の上にある、カギ取ってきてもらっていい?」
「……部屋、入って平気?」
「おー。なんで?」
「いや、変なものとか置いてない?」
「“変なもの”って?」
「……ハレンチ系とか」
「あー、クローゼットの上の方は覗かないで」
「イヤだ夏希君、さいあくー」
「自分で聞いたんだろ」
食べ終わったカップラーメンの容器とコップを両手に持ったまま笑う夏希君にそう言われ、何も考えずに廊下に出た。