好きだ好きだ、大好きだ。
「だって!! 城戸君が悪いんでしょう!?」
「……何でだよ」
夏希君?
いつもとは全然違う低い声に、どんどん涙声になっていく若松さん。
――きっと彼女は……
「だって、私はずっと好きだったのにっ」
夏希君が、好きなんだ。
痛いくらいに伝わるその気持ちに、私の胸まで苦しくなる。
だけど、目の前の夏希君は、その瞳を真っ直ぐ見据えたまま
「何回も言ってるけど……俺は、好きでもない子とは付き合わないよ」
静かにそう告げた。
呆然とする私の前を、泣きながら走り去る彼女の足音が、ひんやりとしたトンネルの中に響いて、どうすればいいのかわからない私は、その場に立ち尽くす。
目の前には、顔を顰めたまま溜め息を吐く夏希君がいて。
「ごめんね、ハナちゃん」
その真っ黒な瞳に私を映しながら、そんな言葉を口にした。