好きだ好きだ、大好きだ。
「――………っ」
額の汗を腕で拭いながら振り向いたその人に、心臓がギューーっとなった。
イテテテテテテ。
何だコレ。
思わず掴んだ胸の辺り。
短めの黒髪と、真っ黒なその瞳。
「……」
その瞳に私が映った瞬間、息を呑んだ。
というか“息が出来なくて止まった”という方が正しいかも。
「……」
「……」
きっと、目が合っていたその時間なんて高々数秒。
それを妙に長く感じながら、目の前の彼が軽く会釈をした瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
あ、ど、どうもーっ!!
なんて口には出さなかったけれど、慌てて頭を下げた私は何だか恥ずかしくなってしまって、頭を上げるのと同時に、その場からダッシュで退散したんだ。