好きだ好きだ、大好きだ。

夏希君……。
あなた、どこまでいい人?
そして、どこまで気遣い屋さんなの?

じーんとする胸を押さえる私の隣で、さっきまでぶつくさと文句を言っていた亜矢ちゃんは

「あんた、気ぃきくじゃーん! うんうん。ナイス気遣い!」

なんて満面の笑みを浮かべると、手渡されたタオルを頭にバサッとかぶった。

この子は本当に……。

「夏希君、」

“ありがとう”――そう言おうとして、ハッとした。

頭に浮かんだのは、さっきの夏希君の低い声。

――“夏希って呼ぶの、やめてくんない”

そうだよ。だって、最初から言ってたもん。“夏希”っていう名前が好きじゃないって。
それなのに私は“夏希君、夏希君”って、馴れ馴れしく……。

「き、城戸君」
「はっ!?」

悶々と考え込んで、その苗字を口にした私に、夏希君は心の底からの“はっ!?”を浴びせた。

< 71 / 232 >

この作品をシェア

pagetop