好きだ好きだ、大好きだ。
「なに? 急に“城戸”って」
「私、何も考えないで“夏希君”とか呼んじゃってて……」
しどろもどろに答えた私に、目をパチパチと瞬かせた彼は、一瞬考え込んで“あー……”と一言口にしたあと、言ったんだ。
「ハナちゃんはいいんだよ」
「え?」
「俺だって“ハナちゃん”って呼んでるし」
「……」
「ハナちゃんは“夏希”でいい」
フッと笑ってそう言いながら、たぶん顔が真っ赤であろう私の頭の帽子をポンポン叩いて「似合ってんな」と、今度はにっこりと笑った。
「――……っ」
あーもう……。やめて欲しい。
心臓がね、もう右心房と左心房が入れ替わっちゃってるんじゃないかってくらい、変な音を立ていて。
「ちゃんと観とけよー」
そう言って歩いて行く夏希君に、私はただ、頭を縦にブンブンと振る事しか出来なかった。