好きだ好きだ、大好きだ。
「あっ! ボウシありがとう」
ドキドキと外まで聞こえてしまいそうな胸の音を誤魔化すように、頭の上から帽子を取った私は、“焼ける!!”なんて嫌がる亜矢ちゃんの頭からも、タオルを無理やり剥ぎ取って。
それを抱えて、夏希君がいるフェンスに駆け寄った。
だけど……。
「え?」
目の前のフェンス越しの夏希君は、少し目を細めて口角を上げて笑っていて。
「今日バイトは?」
そんな、私の言葉とは全く噛み合わない質問を口にする。
「え? あるけど……」
「この後すぐ?」
「ううん。5時からだから、1回家に帰って……」
「そっか」
私の返事に、一瞬何かを考え込むように上を向き、首を小さく傾けて。
一段低くなっているその場所から、私を見上げた。
「それって、1回帰んないとダメ?」
な、夏希君っ!!
ナイスアングル!!
あなた、どれだけ仔犬系!?
私の胸をキュンキュンさせっぱなしの夏希君は、そんな事に気づくはずもなく、どこまでも罪作りな笑顔を浮かべる。