その仮面、剥がさせていただきます!


「どうなの?あたしと付き合うの?付き合わないの?」


一向に返答しない王子に業を煮やしたあたしは、鼻息荒く腰に手を当てると、王子を上から威嚇した。

あたしを見つめていた王子の目が逸れると、それが答えと思ったあたしは項垂れる。



隊員たちよ、ごめん……


潜入調査なんて所詮あたしにはムリだったんだよ。


あたしにあるのは{王子に初めてフラれた女}っていう名誉には程遠いレッテル。


りっちゃん調査隊員。今その不名誉な称号を持って帰らせていただきます……




初めから上手くいかないと分かっていても、ショックなわけで、今、目に見えている黒ずみ古びたスリッパがまるで自分みたいに哀れに映る。


きっと王子はピッカピカの真っ白なスリッパを履いているに違いない。


座っている王子のスラリと伸びた足の先を辿って行った。


あれ?なんで?


王子の足先に履かれているはずの学園指定のスリッパではなく……



「クツ?」


あたしは隣の男の履いている物を確認する。


やっぱり靴……


そして近くにいる生徒の足元を見回した。



教室で靴を履いているのは王子と隣の煩い男とマイペースな茶髪……


なんで?教室で靴を履いてるんだろう?



と、こんな時にでも、どうでもいいことが気になるあたしの癖を、あたし自身を、今すぐに抹消したい~(泣)




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