その仮面、剥がさせていただきます!
そう思っても気になるものは気になる。
王子の履いている、手入れが行き届き黒光りした靴をジッと見ていた。
王子よ。早くトドメの一言を言ってくれ……
「あ……ごめん」
王子が立ち上がった気配がした。
やっぱり……
王子から放たれた言葉が、鋭くぶっ太い矢になってあたしの体にツキ刺さる。
上原律子……
皆さまのお役に立てず申し訳ありませぬ。ただ今をもちまして、調査隊を退団させて頂きたく存じあげまつりたく……このようにペンを取った次第でして……
隊員たちに宛てた支離滅裂な謝罪文を脳裏に浮かべると、一歩足を引いた。
「ここまでしてフラれるとは……ぶっっ。かっこ悪っ」
煩い!うるさい!!うるさいわぁぁぁぁ!!!!
バカにした隣の男に掴みかかって行きたいとこだけど、今のあたしのはそんな余力は残っていない。
ホント。かっこ悪い……
自分自身でもそう思ってしまっている。
あたしは項垂れたまま踵を返した。
「あ。違うんだ。今のは断りの『ゴメン』じゃなくって」
「え?」
王子の声に思わず振り返る。
「うん。いいよ。あなたとお付き合いしても」