月を狩る者狩られる者
悲しくて、悔しくて……涙が滲む。

感情が席を切ったように溢れ出て、言葉となった。


「そんな名前も知らない男なんか関係ない!」

私は悲痛な気持ちで泣きながら叫んだ。


朔夜はそれでも止める気はなさそうだったけれど、私はその隙に続ける。

「そいつはナンパしてきただけ。貴方から逃げたかったから、仕方なくついて行っただけよっ!」

そこまで言って、やっと朔夜の手が止まる。


朔夜の胸元の服をぐっと掴む。

嗚咽を漏らしながらうつ向いていたから、朔夜の顔は見えない。


いや、見たくないんだ。


朔夜が今どんな顔をしてるか分からないから。
< 111 / 421 >

この作品をシェア

pagetop