月を狩る者狩られる者
「朔夜が悪いんだから!」


うつ向いたまま、私は叫ぶ。


「あんな綺麗な人と楽しそうに話して……しかもあんな事までして……」

「あんな事?」

「唇に触れてたじゃないっ!」
 

口に出した瞬間、その光景がまざまざと思い出された。

堪えて溜め込んでいた痛みが、さらなる涙として溢れてくる。


とめどなく溢れる涙は視界を揺らす。

それに伴う嗚咽は言葉を奪った。


朔夜はそんな私の顎をまた掴み、上向かせる。

きっと酷い顔してるだろう私の顔を、ジッと見つめていた。
< 113 / 421 >

この作品をシェア

pagetop