月を狩る者狩られる者
「くっ」

朔夜は珍しく顔を歪めてうめく。


何とか男を振り払ったものの、結構血を吸われたようで地に膝(ひざ)をついた。


「朔夜!」


いつもの余裕がない朔夜が心配で、私はすぐに彼に駆け寄る。

でも、その私の腕を男が掴んだ。


「お前はこっちだよ。十六夜さんが待ってる」

「嫌! 大体十六夜って誰よ!?」

片手で朔夜にしがみついて、何とか男の力に逆らいながら叫んだ。


私の叫びに男は嘲笑う。

「知ってるはず……いや、忘れられないはずだぜ?」


嫌な予感がした。

男の言葉をこれ以上聞いてはいけないような予感が。
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