月を狩る者狩られる者
歩幅の広い男は、すぐに私の目の前に来る。


「何か言えよ」

恐怖で僅かに震える私の顎を捉えて、男が言う。

「あっ……」

上向かされ、男に私の今の表情を見られた。


先ほどまでの強気な私と違い、恐怖に怯える弱い私の表情。


男と目が合い、私は奥底にある記憶を揺さぶられた。


思い出したくない記憶。

でも、絶対に忘れる事が出来ない記憶を。

< 17 / 421 >

この作品をシェア

pagetop