月を狩る者狩られる者
 

十六夜に案内されたのは、いつかのときと同じ様な廃ビルだった。

進むにつれ、周囲の気配は増えていく。


きっと十六夜の配下だろう。

思った以上に多そうだ。


「望……」

歩きながら、朔夜が耳打ちしてきた。


「もし、本当に奴と一対一になったら、目だけは絶対に見るな」

私は「え?」と聞き返すように顔を少しだけ朔夜の方に向けた。


「吸血鬼は目を合わせることで催眠術をかける。だから目だけは絶対に見るな」

「……分かった」

と、私は頷く。


そのすぐ後に、十六夜が立ち止まり振り向いた。

「さてと、ここならいいだろう?」
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