月を狩る者狩られる者

「ほら、今日は満月よ。綺麗よね……」

そう言って私はツクヨミを抱いたまま月を見上げた。


意識が吸いこまれてしまいそうな白い月。

真円(しんえん)を描いているそれは、他の形のときとは違って何らかの力を秘めているかのように見える。


そんな月の光を浴びて、私は月の力を貰っている様な気すらしてきた。



そうしていると、カチャッ…という音がバスルームの方から聞こえてくる。

朔夜が出てきたんだろう。


「何故電気を消してるんだ?」


リビングに来た朔夜は開口一番にそう言った。


私はツクヨミを抱きながら軽く振り返って答える。

「月をもっと良く見ていたくて……。今日は満月だから」


そして私を見た朔夜の目の色が変わる。
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