月を狩る者狩られる者

だって、ぬか喜びの後がキツ過ぎる。



「とにかく、やっぱり探すなら例の事件を追ってみたほうが確実だと思うわ……でも」

沙里さんは、そこで私の様子を見て言葉を詰まらせた。


私は弱々しく微笑む。

「分かってます。今の私じゃあ、使いっ走りの奴らを捕まえることさえ難しいでしょうね」


自分でもはっきり分かるほど、私の体力は落ちていた。


これは血が飲めないことだけが原因じゃない。

朔夜という、誰よりも大切な人が側にいない辛さ、どこにいるのかも分からない焦燥(しょうそう)からくるものだ。


朔夜がいない……。


たったそれだけのはずなのに、私にとっては命に関わるほど大切なこと……。


精神的なショックは、確実に体を蝕(むしば)んでいた。
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