月を狩る者狩られる者
「え? 朔夜は?」

「少し用事があってな。大丈夫だ、すぐ行く」

その言葉に、朔夜が帰ってこなかったあの日を思い出し私は朔夜の腕にしがみついた。


きっと、捨てられた子犬のような弱々しい顔をしていたと思う。

そんな私に朔夜は優しく微笑んだ。


「心配するな。用事といっても目と鼻の先の場所だ。何かあればすぐ分かるさ」

「……うん」

そうして私はためらいながらも朔夜の腕を離す。


「沙里の所で待っていろ。すぐに行く」

と最後に言って朔夜は別の方へ歩いていった。
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