月を狩る者狩られる者
「……っ! 私の心も奪うんじゃなかったの? これ以上やったら、私は貴方に心は絶対あげない!」

唇が離れた一瞬を狙って、私は叫んだ。


強固な意思を伝える様に、眼差しに力を込める。


なのに朔夜は甘く囁く様にこう告げた。

「例えそうだとしても、お前の心を奪う自信はある。……体の関係から始まる恋ってヤツを教えてやるよ」


妖艶に微笑む朔夜を見て、私は全身の熱がサァっと引いた様な感覚を覚えた。

「やっ……いや……」

掠れる抵抗の言葉も虚しく、朔夜の唇が私の鎖骨を吸った。


瞬間、私は目の前が真っ暗になる。



奥底の記憶が蘇る。

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