月を狩る者狩られる者
「落ち着け! 止めるから……もう、しないから……」

朔夜の声が泣きわめく私をなだめ、暴れる体を包み込む様に優しく抱き締めた。

そんな状態でも私はまだ暴れていたけれど、朔夜の体温と心音に徐々に落ち着いてきた。


「うっ……ふぅっくっ……」

まだ嗚咽をもらしている私を朔夜は子供にするように背中をポンポンと叩いてくれる。


朔夜が泣く子のあやし方を知っていることに少し意外だなと思った。



やがて嗚咽も治まると、朔夜は私を離して「待ってろ」と言い残しベッドルームを出ていった。

消えたぬくもりを少し寂しく思いながら、私はベッドの上で身を起こす。
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