あやまち
そう言ったあとの翔太は、あたしの胸が痛くなるほどに切ない表情をしていて……


それでも、翔太はさらに言葉を続ける。



「それと同時に、悠亜は俺じゃなくて、渉を見てることに気付いたんだ」


「……」



さらに眉を下げた翔太の顔を見ていられなくなって、その瞳から逃げるようにゆっくりと視線を落とした。



「渉もさ、俺の気持ちに気付いたのか、本気になり始めて……その頃の俺、周りが全然見えなくなるほどに、焦ってたんだと思う」



そこまで話した翔太は、またグラスを手に取り、半分残っていたお茶をすべて飲み干した。


コツンッと小さく音をたててグラスを置いたあと……



「悠亜」



翔太は、さっきよりももっとトーンを落とした声で口を開いた。


その声と同時に視線も感じて……


うつむいていた顔をゆっくりとあげる。

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