あやまち
「俺、悠亜を自分のものにする為に、『渉が女と遊び歩いてる』なんて、ありもしない嘘をついたんだ」



麻希から聞いていた事実だとはいえ、翔太の口から聞くと、やっぱりショックは大きい。


そして、翔太の顔が涙で歪んできたことに気付いて、慌ててうつむいた。


その瞬間、膝の上で作っていた拳の上に、ポタリと涙がこぼれてしまった。


翔太はその雫を親指の腹で拭い、そのままその拳の上からぎゅっと手を握りながら、さらに続けた。



「そのせいで傷付いた悠亜を、……酔っていたのを理由にして……、抱いた。既成事実を作ってしまえば、悠亜が断れないってことも、わかってた」



すべて、翔太の作戦だったんだ。


あのとき見せてくれた笑顔は、純粋なものだと思っていたのにっ……



「……っ……」

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