あやまち
確かに、あの旅行から帰ってきてからの三週間は、翔太の気持ちを押し付けられていた。


それを苦痛に感じてしまっていたのも、事実。



「悠亜」



やさしい口調でそう言った翔太は、あたしの両肩に両手を添えて、ゆっくりと自分と向かい合わせた。


それと同時に視線を上げると、吃驚するくらいに真剣な表情をした翔太がいて。


いつもとは違う意味で、心臓がトクンと音をたてた。


そのまま視線が交わったと思ったら、翔太が静かに口を開いた。



「悠亜、……別れよう」


「えっ」


「こんな状態で付き合っていても、俺も悠亜も楽しくはねぇよ」



確かにそうかもしれない。


今自分の気持ちがどこにあるのかわからないと言ったのはあたし。


翔太は、そんなあたしの気持ちを尊重しようとしてくれているんだ。


だけど、『別れよう』という言葉は、予想以上にあたしの心にダメージを与えた。


心のどこかで、翔太はあたしの傍から離れていかないって、そう思っていたんだ。

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