あやまち
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翔太が夕食に……と誘い出してくれた場所は、普段翔太とは行ったことがないようなオシャレな洋食屋だった。



「翔太でもこんなお店、知ってるんだね?」


「はは、俺のガラじゃねぇよな」



翔太は苦笑しながらそう言ったけれど、ガラじゃないって思ったわけじゃない。


ただ……



「いつも、ファミレスかファーストフードか……あとは、居酒屋とか焼肉とかむさ苦しいとこばっかだったもんな」



そう、いつもそんな場所ばかりだったから、こういう場所には違和感を感じてしまうだけ。



「この店はダチに教えてもらったんだ。俺、こういうとこはさっぱりだからさ。つか、これの見方すらわかんねぇ」



そう言いながら一生懸命メニューを見ている翔太が、普段見慣れない姿だから面白い。



「ふふ」


「笑うなよ」


「だって」



そんな翔太をこのまま見ていたいなと思いながらも、メニューの見方を教えてあげた。
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