薬指の約束
通話音量が大きいのか、相手の声が大きいのかわからないけれど、

相手の声がはっきりと聞こえる。



『直くぅ~ん?
今どこぉ?』


明らかに女の人の声。
しかも、かなり甘えている感じ。


彼女さんかな?


「おう、今デート中だよ。デート!」

『えー、なにそれぇー(笑)

また女の子捕まえたのぉ?』


「うるせーな、ほっとけ(笑)」



『じゃぁ~、
直くん、今夜会おうよぉ』


女の人の甘えが一段と強くなった。




「おう、じゃあいつもの時間な」


『待ってるねぇ』


それを最後に電話を切った吹田先輩は、あたしの方を向いて言った。




「わりぃ、ツレからだった」


明らかな嘘だとすぐにわかるのに。

あたしはさっきの会話を聞いてなかったことにして、全く知らない振りをした。




「そうなんですかー」



今日、吹田先輩と1日居て、わかったこと。




女の友達がたくさんいるということ。

女慣れしているということ。


女の人からの電話がたくさんかかってくるということ。
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