その瞳で見つめて~恋心~【完】
進藤君にキスされかけたり、進藤先輩にキスされたりと、いろいろなキスシーンにぶつかってきた。

だからと言って、合コンの最中で人がいる目の前でキスされるとは、今まで感じてきた鼓動の速さは現在には敵わない。


そう考えたら恐怖を感じてしまったあたしは目をつむった瞬間、額に柔らかい感触が伝わる。


え?
額……?


目を開けると、蓮夜君はあたしを見下ろすように見ていた。

けれども、彼の伏せがちの目が色っぽく思えて、視線を離せない。


「ほら、王様は唇にとか言ってないでしょ?」

「あ……」

突然、口を開いた蓮夜君の声に我を取り戻した。


そっか。
確かに進藤君はキスしか言ってない。


「よかったぁ……」

「──よーしっ! 王様ゲーム、2回戦だ!」

「は? もっかいやんの?」

蓮夜君の顔はあたしの視界から外れ、目を丸くしながら反論する。


「俺が飽きるまで、やる!」

「それってつまり、お前が王様になんねー限り、終わんねーよな?」

「ほらほらみんな! くじ戻して!」

話を聞かない進行役に、蓮夜君はやれやれと言いたげなため息をついた。
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