その瞳で見つめて~恋心~【完】
放課後になったのだが、部活は昨夜の豪雨のせいでコートが乾ききっていないから使えないとのことで、休止になった。
なので、帰りの支度をしていたあたしだが、担任教師がこちらの席にやってきた。
「水嶋」
「はい?」
「明日配るプリントがあるんだけど、とじ込んでくれないか?」
「え」
「悪いなー。菊池にやってもらおうと思ったんだけど、帰っちゃったし。今日は部活、ないんだろ?」
菊池君とは当クラスの学級委員長だ。
彼は帰宅部なんだが、用事があると言って帰ってしまったんだ。
なら、副委員長に頼んだらいいと思うが、今度は部活に所属していて不在。
他にも当たるという方法もあったんだが、残念ながら現在、教室に残っている者はあたしだけだった。
ちなみに、進藤君はお手洗いだと思う。
「わかりました。やります」
「おお、ありがとうな! 1人じゃあキツいだろうから、誰か誘ってやれよ」
「はい」
先生からどっさりと重いプリントの束や、ホッチキスを受け取る。
一方の彼は、まだ様々な仕事が残っているようで職員室へと向かったのだった。
じゃあ、進藤君とやろっかな。
奈月ちゃんもすでに帰ってしまったので、頼れる人物は進藤君しかいない。
とりあえず、彼が教室に戻るまで、一人で作業に取りかかることにした。