その瞳で見つめて~恋心~【完】
「え? あ……はい、そうですけど。もしかして、進藤先輩の……?」

後ろから声をかけられ、振り向くとキレカジ系の服装にぴったりな美人女性がいた。

もしかして、真実さんだろうか?


「うん。私、服部真実って言うの。春樹の彼女」

「あ! あ、あたし、水嶋由奈です!」

やっぱり、進藤先輩の彼女とあってか、スタイルはよく端整な顔立ちをしていて大人っぽい。


「へー、あなたが隼斗の彼女? かわいい!」

「あ、ありがとうございます……」

彼女は見た目とは逆の愛くるしい笑顔を見せた。


校内一美女だっていうから、ちょっと怖い印象があったのに。
かわいい人だなぁ……。


「由奈ちゃんでいい?」

「あ、はい! 大丈夫です!」

彼女は切り替えが早く、いきなり真剣な表情で見つめられたので驚いてしまった。

やっぱり美人だから、同性のあたしでも心臓が高鳴った。


「私のこと、下でいいよ」

「じゃ、じゃあ……。真実先輩で」

「えー? 学校じゃないんだから、先輩ってつけなくていいよ。真実にして?」

「え……。えっと……っ。真実……さん」

顔を赤らめながら、真実さんと呼んだ。


だって、先輩のことを呼び捨てなんてできないよー!


「よし、合格! 隼斗が彼女にしたの、なんとなくわかった」

え?
どういうこと?


真実さんが言っていることの意味がわからなかった。


「あ。私ね、進藤兄弟と同じ中学なの。だから、よく知ってるんだ。知りたいことあったら、なんでも訊いてね?」
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