刹那音
…それからしばらくたって、夢架は泣きやんでまたにこりと笑った。
その後少し勉強して、喋って、また勉強して。
塾を出たのは夜の10時を回っていた。
「夢架、送ってくよ」
「えっそんなの悪いよ!」
顔の前で大きく手を横に振る夢架。
「だめ。もうこんな遅いんだし、夢架は女の子なんだから」
「えーあたしこれでも強いのにっ!」
ははっと笑う。
肩にかかるくらいのショートの髪が、さらりと揺れた。
「でも…せっかくだし、送ってもらおっと」
寒さで頬や花の頭を真っ赤にしている。
「うん、行こ」
「律なんか彼氏みたーい!」
「ははっ、なんだそれ」
2月の夜の道。
街灯やお店についているイルミネーションが煌めく。
「あのさ、あたし」
夢架がきゅっと俺の袖をつかんだ。