光~彼との夏物語~
「ねぇ、僧雲。」
あたしの口が動く。
あたしが話したようだ。
「なんだ?千鶴。」
男の子が口を開く。
千鶴とはあたしのことだろうか。
「永遠に二人一緒にいたいね。」
「ああ。」
そして男の子が笑いかける。
つられてあたし、千鶴も笑う。
永遠、か…。
男の子がとても幸せそうに見えてあたしは少し羨ましくなった。
でもどうしてあたしがこんな夢を見ているのか。
この夢は夢というより記憶のようだった。
何もかも鮮明で、時代がはるか昔のようなところ以外何もおかしいところはない。
そんなことを考えているうちにまた光景が移り変わった。
それと同時に息苦しさと焼けるような痛みが身体を襲う。
あたしは布団に横になっていて、誰かがあたしの手を握り締めていた。
ぼやけた視界から見えたのはあの男の子だった。
男の子は涙を流していた。
あたしは激しく咳をする。