光~彼との夏物語~
「…そう、うん…。」
か細い声であたしが言葉を発する。
もちろんあたしの意思ではない。
そして途切れた息で「ごめん」と言うと視界から光が消えた。
あたしは目をつむったようだ。
それでもまだ身体の痛みは続いていた。
「千鶴!」
そう呼ぶ声だけが聞こえる。
男の子、僧雲の声だ。
「起きろよ!ずっと一緒にいるんだろ?千鶴!…ち、ずる…」
そして声が途切れた。
しばらくすると身体の痛みは引き、目を開けるとあたしは暗闇にいた。
身体をみるとあたしのものに戻っていて、自分の意思で動くようになっていた。
もう光景が移り変わることはなかった。
ただひたすら真っ暗な世界。
あたしは目を強くつむり膝を抱えた。
怖い。
真っ暗であたし独りで
誰もいない。
あたしは独り…