光~彼との夏物語~

そんなことを考えていると由香莉があたしの名前を呼んだ。

「翡翠、圭さん迎えに来てるよ。もう孤児院の人から許可は出てるみたいだからあとは翡翠が行くだけだよ。」

本当に来てくれたんだ…
でも許可が出たって、親戚でもないのにどうやって…
圭が親戚ではないのは確かだ。
あたしがこの孤児院に来る前、あたしは親戚中をたらい回しにされた。
誰も引き取ってくれず、結局この孤児院に来た。
たらい回しにされたとき、小野寺という苗字の人はいなかったし、圭なんて人もいなかった。

なのになんで孤児院の人から許可がもらえたの?

疑問に思いを馳せていると部屋のドアが開き、圭が顔を覗かせた。
そしてあたしがいるのを確認して部屋へと入る。

「おはよ、翡翠。」
圭は笑顔を見せ、ドアを閉めた。

最悪だ。
寝癖で髪はボサボサで寝起きでひどい顔をしているというのに見られるなんて。
しかもここは女部屋だ。
躊躇なく入ってくるってどういう…


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