暴走族の秘密の姫君
「…木君、ありがとうね。
もう、月辺さんも大丈夫だと思うから。もう良いわよ」
「はい、ありがとうございました」
そんな会話が聞こえてくる。
だんだんと私の意識も戻ってきた。
ここは…保健室か。鈴木君がいるってことは、鈴木君がここまで送ってくれた?
目を覚ました私に気づいたように保健の片桐(Katagiri)先生が私に声をかける。
「月辺さん!目が覚めたのね。
鈴木君がここまで送ってくれたのよ」
「…ありがとう…ございます」
私は素直にお礼の言葉を口にした。
「あ、お水でも持ってきましょうか?ちょっと待っててね」
そう言って片桐先生は保健室の奥のほうへと消えていった。
「紫ちゃん。大丈夫?」
「うん、ありがとう。迷惑かけちゃってごめんなさい」
話しかけてくれた鈴木君に対して私は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。