暴走族の秘密の姫君
友達の声に顔を上げると、筆箱が飛んできた。
「っ…!!」
それを間一髪のところでよける。
「へぇ…運動神経は良いじゃん!」
男子は笑いながら話す。
「危ないでしょ?!何考えてんの?」
私の後ろにいる女子が声を荒げる。
私は昔から反射神経と運動神経は良かった。
まぁ、筆箱がよけられたのは当然なんだけど。
こんなやり方でそれを試されると少なからずむかつく。
「ねぇ。そんなに私のこと嫌いなら…本気のケンカでもする?」
もうどうにでもなってしまえ。
多分その時の私はそんなことを思っていた。
藍華のこともお兄ちゃんのことも…全部忘れられるなら、何をやってもいいような気がした。