暴走族の秘密の姫君
藍華の家っていうのはお母さんから逃げるための家のことだ。
多分、少しでもお母さんから離れたいっていう藍華の願いが込められているはず。
「これがカギね。通帳と一緒に入れておく」
淡々と準備を進めていく藍華。
…でも、それって本当に私に渡してしまっていいものなんだろうか。
私がよほど心配そうなかおをしていたからなのか、藍華が私に笑いかける。
「大丈夫だよ?この家、マンションだけど1家族位住める広さだし。
私の心配ならしなくって大丈夫。通帳も、私にはまったくいらないお金。お母さんが私に無理やり持たせてるような、そんなお金だから」
最後に藍華は少し意地悪そうに笑った。
絶対お母さんのことを思ったんだろうな…。
「…あ…ありがとう。なんでここまでしてくれるの…?」