暴走族の秘密の姫君
「俺たちが紫に幸せになってもらいたいと思ってるからだろ?
…紫。お前だってもう中3だ。お母さんの言いなりになんてならなくっていいんだ。これまで強いられてきたことを取っ払って…自分の幸せを考えるべきなんだ」
私の手を取ってそう力強く話すお兄ちゃん。
…あれ、何だろう。目頭が、熱い。
「そうだよ、お姉ちゃん。お母さんなら私たちで何とかするから。でも、いつでも頼ってきてよ。これ、私の携帯番号ね。
あと、お姉ちゃん。大好きだから。お母さんにあんなこと言われても、私はお姉ちゃんの一番近くに居るから。
私と、朋文と紫お姉ちゃんはいつまででも一緒だよ?」
ふふ、と藍華は笑った。
視界がぼやけてくる。
「紫、お前何泣いてるんだよ」
朋文お兄ちゃんが笑いながら肘でつついてくる。
私は、こんな2人に囲まれながら自分の部屋で10分間は号泣していた。
「お姉ちゃん!通帳しまって!」
その声が私の部屋に響いた。