暴走族の秘密の姫君
うん、確実にそうだ。
「じゃあ私が審判ね!」
そう言って私と蛍さんの間に立つ鈴木さん。
「…いつでも始めていいぞ。総長が戻ってきた。
紫さん、頑張ってくださいね?」
そんな声がスピーカーから聞こえてきた。
笑い声も一緒に聞こえてきそうな、そんな声。
…紫さん?そんな風に呼ぶ人、私は一人しか知らない。
でも、でも、そんな訳ない。
そう思っていると、鈴木さんが私に声をかけてきた。
「月辺さん、始めるよ?良い?」
もう、始まってしまうんだ。
今はこっちに集中しなくちゃ。