暴走族の秘密の姫君
「じゃあ、始めます!」
その鈴木さんの声と一緒に蛍さんがこっちに飛んできた。
…蛍って呼ばれていたけど名字はなんていうんだろう。
そんなことを考えていると、私の目の前にパンチがとんで来ていた。
ハッとして、私は右に体をそらした。
「…っ!」
危ない。当たるところだった。
そのよけた勢いを利用して足を回す。
ゴッという鈍い音がしてその足は蛍さんの背中にクリーンヒットした。
「…なんで…?!」
隣から鈴木さんのつぶやきが聞こえた。
みんなは私が昔、零のところに居たことなんて知る由もない。
私だって喧嘩は出来んのよ?
「…お前…何やってたんだ…」
相手の苦しそうな声が漏れた。
これからが、本番ってことかな…。