寂しがりやの猫
留学
やがて 秋になった。
冬物のコートが出始める時期、街をブラブラしていると、不意に声を掛けられた。

「中河原さん!」

振り返ると結城がニコニコ笑って立っていた。

「わあ、千里ちゃん。久しぶりだねぇ」

私は 懐かしさの余り結城に近付いて手を取った。

「お元気でしたか?」
「うん。千里ちゃんは?」

「私は…。駄目です。元気無いです」

結城は 寂しそうに ちょっと目を伏せる。
なんだか少し大人っぽくなって、以前のように キャピキャピした雰囲気では無くなっていた。
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