寂しがりやの猫
自分の席に戻り、またパソコンと向かいあう。


ふと見ると結城の隣に田村が来て 何やら教えているようだった。

「だからさ、ここをドラッグしてくれば いいんだって」

「えー なんか怖い。失敗したらどうするの?」

「失敗なんかしないって、ほら」

田村は おもむろにマウスを持つ結城の手に自分の手を重ねて操作してやる。


「あ、ほんとだ。簡単」


「だろ?」


― ふぅん… あれ こないだ私が教えたのに… わざわざ田村に聞くなんて。

なんかちょっと嫌味?
しかも 田村も嬉しそうに手を触ったりして。

やることが 姑息なんだよね。


つい オバサン根性で見てしまった。

― 私、妬いてる…?

ちょっと情けなくなった。


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