春、恋。夢桜。
自転車で、まっすぐの道を駆け抜けた。
4月も終わりに差し掛かった今は
寒いような、暑いような微妙な気候が続いてる。
生ぬるい風を鬱陶しく思いながら、俺はひたすらペダルをこいだ。
住宅街に入った辺りで、まっすぐだった道は入り組み始める。
すっかりと通りなれた道をさっと通り抜けて、俺は家に到着した。
そして、そのまま自転車を停めて、家に入る。
梨恋が先に帰って来てたからだろう。
リビングからはテレビが話す声が聞こえる。
でも俺は、何も言わずに2階へ向かう階段を登った。
「……い?響兄!?帰って来たの?ねぇー!?」
足音でも聞きつけたのか……?
俺が自分の部屋のドアを閉めた頃に
梨恋が階段を駆け上がって来る音がした。
「ねぇ、響兄……?足音もしたし、靴もあったから……いるんだよね?」
梨恋の声が、少し震えているような気がする。
「あ……、あのさっ!算数でわからないところがあるんだけど、響兄が教えてくれない?」
それが、さっきまでテレビを見てた人間のセリフかよ……
思わず出そうになったそんな言葉を
俺は静かに飲み込んだ。
4月も終わりに差し掛かった今は
寒いような、暑いような微妙な気候が続いてる。
生ぬるい風を鬱陶しく思いながら、俺はひたすらペダルをこいだ。
住宅街に入った辺りで、まっすぐだった道は入り組み始める。
すっかりと通りなれた道をさっと通り抜けて、俺は家に到着した。
そして、そのまま自転車を停めて、家に入る。
梨恋が先に帰って来てたからだろう。
リビングからはテレビが話す声が聞こえる。
でも俺は、何も言わずに2階へ向かう階段を登った。
「……い?響兄!?帰って来たの?ねぇー!?」
足音でも聞きつけたのか……?
俺が自分の部屋のドアを閉めた頃に
梨恋が階段を駆け上がって来る音がした。
「ねぇ、響兄……?足音もしたし、靴もあったから……いるんだよね?」
梨恋の声が、少し震えているような気がする。
「あ……、あのさっ!算数でわからないところがあるんだけど、響兄が教えてくれない?」
それが、さっきまでテレビを見てた人間のセリフかよ……
思わず出そうになったそんな言葉を
俺は静かに飲み込んだ。