春、恋。夢桜。
「調子に乗るなよ。お前の説教なんて、0.01パーセントくらいしか効かなかったから」

「じゃあ、残りは何の効果があるんだよ」

「……絶対に言わねぇ」

「何だよ今の間!やっぱり俺のおかげだったってことじゃねぇか?
照れなくて良いぞ?きょーうくんっ!」


にっこり笑って肩を組もうとする潤の腕を思い切り振りはらって、俺はドアの方へ歩き出した。


清々しい程の青空が、背中を後押ししてくれるような気がする。



梨恋、潤、麗華、……


どれだけたくさんの人達が俺のことを見守ってくれてるんだろう。



俺自身は、どれだけの人のことを支えられてるんだろう。



もちろん、全てが目に見える形で確認できるわけじゃないし

全てに直接的に、自分が関わってるわけじゃないと思う。



それでも、こうして笑いながら歩いていけることが

こんなにも楽しくて、こんなにも面白いと思えるのは


きっとそんな多くの支えのおかげなんだと思う。



頑張ってみせるからな……――――



俺は、心の中でそう強く囁いて、屋上を出た。
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