春、恋。夢桜。

【四】

学校が終わってから家に帰ると、リビングにたくさんのお土産を広げる母親がいた。

横には、その様子を楽しそうに見る梨恋の姿がある。


梨恋は、夜こそ泣いてたものの、朝にはすっかり泣き止んでいて……

少しすっきりとした笑顔を、朝一番に見せてくれた。


俺は、自分の部屋に荷物を置いて、制服を脱いだ。


ストレートのジーンズに、少し色見を抑えたチェックのシャツを着る。

そして、適当なベルトを通した。


俺は別に、服装にそこまでこだわる人間じゃない。


同級生の中には、スタイリッシュなベストを羽織ったり

短いブーツを履いたり、とお洒落に気を遣う奴もいる。


でも、はっきり言って少し面倒だ。

だからいつも、普通に着ていればそこそこに見えるものを選ぶ自分がいた。


このサボり癖も、大学へ行ったり、社会人になったりすると変わるんだろうか……。
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