俺のシンデレラになってくれ!
玄関の近くの階段を上がりながら、篤の話に軽く頷いた。


上がりきったところにあった広い部屋を視界にとらえながら、横にある廊下を進む。


壁も柱も、ソファーもカーテンも、全部が白で統一された空間は、まさに“お洒落”で、やっぱり何だか落ち着かない。


突き当たったところで曲がったすぐ先には、ドアが4つ並んでいた。


それだって、やっぱり白い。


この中の1つが、篤の部屋ってことか。


真っ白すぎる家の中は、篤には少し似合わないような気がして面白い。



「10分経ったら押しかけていいの?」


「いや、それは困る!でも、なるべく10分で頑張るってことで!」



焦ったみたいに、でもしっかりと、篤が言った。


そこまで念を押さなくても……。


あたしの返事を待つ気もなかったのか、いきおいよく閉められたドアを茫然と見つめる。



篤のことだから、単純に散らかってる部屋を片付けたいんだろうな。


そう思ったら、自然に頬が緩んだ。



「あと3分だけどー? もう平気?」


「ダメだって!あと3分! いや、あと5分?」
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