俺のシンデレラになってくれ!
3
「はい、次はこっち!」
「今度は何ー?」
ペットボトルのふたを閉めながら、パソコンを操作する篤に聞く。
「これは映画だね。知らない?何年か前にアメリカで作られた、ガッチガチのCGでコーティングされたシンデレラ」
「あー、CMで見たくらいだわ。ガッチガチすぎて気持ち悪いな、って思ってたし」
「あのCM、シンデレラのファンシーな部分取っ払った感じだったからなー。もとのイメージ壊さない程度に内容説明した方が絶対いいのに……。ただのホラーの宣伝みたいだったし」
プロが作ったCMに口を出すなんて、何様なんだろう。
結で広報活動みたいなことにも携わってるだろうから、あたしよりはいろいろ詳しいのかもしれないけど。
悪気のない上から目線ほど、腹が立つものってないと思う。
「てか、美砂。さっきから何か眠そうじゃない?シンデレラに失礼だろ」
「いや、シンデレラに失礼ってどういう意味?最近は朝早い日ばっかりだったから、疲れてるの。
しかも、次で3本目でしょ?最初のが短かったからまだマシだけど、3時間も座ってDVD観てるんだもん。眠くもなるって」
「だから、眠くなるってのが失礼だって言ってんの!せっかくの作品なんだから、全力で観ないと……」
呆れたようにそう言うと、篤はマウスに手を乗せた。