俺のシンデレラになってくれ!

入学の時に推奨されたパソコンとは違う篤の、黒と青のノートパソコン。


推奨されたあたしのシルバーのパソコンと違って、つやつやしてて格好いい。


しかも、無駄な凹凸のあるあたしのパソコンと違って、さらっとしてて大人な感じがする。


何かこんなこと考えてると、あたしが嫉妬してるみたいだけど。


……篤のパソコンに。




結局あれから、壁側に並んだあたし達は、“シンデレラ”のDVDを2本観た。


1つは子どもも楽しんで見られるアニメーションのもの。


もう1つは、それをモチーフにしたミュージカルのもの。


篤がどこで入手してきたものかはわからないけど、こうやって“シンデレラ”を集めてるところを見ると、篤のこだわりが伝わってきて少しだけ感心する。



……まぁ、それが健全な男子学生像に当てはまるのかっていうのは、別問題だけど。



「そもそも、一応これバイトなんだからさ。寝てサボってちゃダメでしょ」


「じゃあ、クビにすれば?」


「え? あ、いや……再生しまーす」



苦笑いをしながら再生ボタンをクリックした篤を見て、あたしは軽く、溜息を落とした。
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