俺のシンデレラになってくれ!
「……ねぇ、“シンデレラ”ってこんなにアクティブだった? ただの引きこもりじゃないの?」
何か、森の中を走り回ってるし。
刀みたいなの持ってるし。
せっかくのドレス、泥だらけでビリビリだし。
舞踏会に行く理由がお母さんとお姉さんを見返すためで、お城を飛び出した後に魔法の匂いを嗅ぎ付けた悪魔に追い掛け回されるなんて……。
「引きこもりって……。外に出たくても出られない……って感じなんだけどな、俺の思うシンデレラって。本来結構、アクティブなんだよ。
まぁ、この映画のシンデレラとは、アクティブの方向が違う気もするけど」
あ、シンデレラの自宅までは、悪魔も入れないんだ。
ドレスをくれた妖精が住みついてて、自宅内なら守ってくれるってことか。
……ダメだ、設定についていけない。
「篤が思う“シンデレラ”って、どんな感じなの?」
「どんな感じって?」
画面に視線を向けながら聞いたあたしの隣で、篤がすっと首だけ動かした気配がした。
それを無視して、そのまま口を開く。
「あたしはね、“シンデレラ”って弱いイメージしかなくて……。最初のアニメのシンデレラも、ミュージカルのシンデレラも、お姉さん達にいじめられてるからって自分で外に出ること諦めてて。
将来のプランもなく神頼みだし」
「魔法頼み……てか、王子頼みとも言うな」
「ほら、舞踏会の後だって、思い出に浸ってるだけで自分から行動しようとしてなかったでしょ?あんな風に待ってるだけで、いいことなんて起こるはずがないし。
だから何か、結局シンデレラは、きらきらした世界に甘えてのほほんとしてるだけのお嬢様なんじゃないかって」
「きらきらはしてなくない? いじめられてたわけだし」