俺のシンデレラになってくれ!
そう言って苦笑いする篤の向こうで、お城のベランダみたいなところでシンデレラと王子様が微笑んでるのが見える。
ハッピーエンド。
最初から最後まではちゃめちゃだったけど、シンデレラの頑張り具合を見てたら、この終わり方にも納得だ。
「納得できちゃうシンデレラもあるんだ……」
「これ、シンデレラが本気で努力して得たハッピーエンドだからな。一般的な“シンデレラ”の認識から考えるとレアかー」
「こーゆーシンデレラはお気に召さない感じ?」
「いや、俺は好きだけど。ちょっと美砂っぽいし」
「え?」
何でこーゆーことをさらっと言うかな……――――
一瞬だけ、本当に一瞬だけ騒ぎそうになった心臓に、思わず焦る。
「あ、あたしは……こんなに野蛮じゃないし! あたしが、刀持って森を駆け回るような人間に見える?」
「……見えなくもない」
「は?」
思いっきり眉間を硬くしたあたしを見て、篤が小さく笑った。
「基本的には大人しい方だと思うんだけどね、美砂って。でも、自分の将来とか、バイトとか、そういう生活面のことに対する嗅覚がものすごいなって。
しかも、目標立ててしっかり計算するタイプだろ?そう考えると、計算と努力でアクティブにハッピーエンドを手に入れた“シンデレラ”に似てない?」
「それ同時に、あたしのことを『ずる賢い人間だ』って言ってるんだってことにも気づいてる?」
「あ、いや……! その辺は違うから!うん!」