俺のシンデレラになってくれ!

言われて視線を落としてから気付いた。


足の上に乗せてたマフラーは、どれだけ広げたって膝が隠れるくらいの長さしかない。


床に足をくっつけてる状態だった時はそれで十分だったけど、膝を立ててる今は、篤の方から見ればマフラーは何の目隠しにもなってないはずだ。


慌てて元の姿勢に戻ってから、やっとDVDを仕舞い終わった篤に視線を送る。



「で?」


「いや、『で?』って何?」


「見たのか、見てないのかって言ってるの」


「はぁ!?いや、見たと言えば見たけど、見てないと言えば見てないってゆーか……」


「ちょっと! はっきりしてってば!」



思わず膝まで立ち上がったあたしを見て、篤が焦ったように首を振った。


顔の前に突き出された左手は、盾のつもりなのかもしれない。



「いや、タイツ履いてるしそんながっつりとは見えてないから!」


「がっつり見えてたら困るわ! 大体どうしてそんなとこに視線向けるわけ?信じらんない!」


「仕方がないって! DVD仕舞おうと思って手動かしてたから、自然に……」


「自然にスカートの中見る奴なんているわけないでしょ!?」


「いや、そこはちょっと否定できないけれどもっ!」



確かに、こういうのって男も女も関係ない。


……気もする。
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